脳卒中後上肢麻痺に対するアプローチの 1 つに Graded Repetitive Arm Supplementary Program(GRASP)がある.GRASP は自己管理型の補足的上肢プログラムであり,反復 的課題指向型練習と行動療法により構成される.これらの構成要素は明確な目標設定が重 要となる.今回,左上肢麻痺を呈した亜急性期脳卒中症例を経験した.目標を明確にし, 療法士と対象者の間で目標を共有するためにカナダ作業遂行測定(COPM)を用い,通常 作業療法に加え GRASP を実施した.結果,麻痺側上肢機能と生活内使用頻度の改善を認め,希望であった復職に至った.COPM を用いた目標の明確化と共有により,自己管理型 プログラムである GRASP をより能動的に実施可能となる可能性が示唆された.