本研究では、瘢痕への皮内鍼刺激の効果について科学的に検証するために条件反転法(同一の被験者に対し無刺激期間と鍼刺激を行う期間を反転して行う方法を行い、瘢痕の大きさ、形状等の変化を観察した。本研究結果より、瘢痕への皮内鍼刺激により瘢痕形状や面積が減少する例が認められたが、変化しない例や、軽度拡大する例も認められた。この現象には、皮内鍼刺激が何らかの生理活性因子によるシグナルを介して瘢痕の消退を促した可能性があると考えられるが、瘢痕の存在部位や受傷起点によっては、皮内鍼刺激が影響を与えにくい場合もあることが示唆された。
佐藤 裕子, 二本松 明, 宇津木 努, 安戸 方邦, 吉田 眞夢, 平井 顯徳