演技の適応的側面と病理的側面についての一考察
本論文は,内的体験と異なる自己を呈示する「演技」を概念化し,その適応的側面と病理的側面を理論・事例の両面から検討した。多元的自己研究,感情労働研究,as-if personalityおよび偽りの自己概念を架橋し,演技が役割遂行に資する一方,固定化すると自己感覚の拡散や空虚感を増幅し得ることを論じた。さらに事例を通じて演技の機能と自我統合の進展を考察し,臨床的示唆を提示した。
東北福祉大学臨床心理相談室紀要, 第4号