変形性膝関節症(膝OA)患者における膝関節の臨床症状と後足部回内を重症度別で比較し, その関係性を検討した。その結果、膝OAが重症であるほど, 膝関節の内反と伸展制限は強く, 足部は回内を示した。一方, 膝OAの重症度と膝関節の疼痛の間には有意差を認めなかった。さらに, 膝関節内反が強いほど, 距骨下関節は回内し, 膝関節伸展制限が強いほど, 距骨下関節回内と踵骨外反は増加した。膝関節の疼痛が強いほど, 踵骨外反は増加した。以上より, 膝OAでは下腿の外側傾斜を距骨下関節回内によって代償すること, 膝関節伸展制限によって足関節が背屈し, 距骨下関節回内や踵骨外反が増加すること, 膝関節内側への荷重量を軽減させるために踵骨外反が増加することが考えられた。
pp. 13-19
伊藤亮太, 尾田敦, 石川大瑛, 前田健太郎, 横山寛子, 川口陽亮, 長澤麻耶, 山舘菜緒, 佐々木和広