【目的】本研究の目的は、異なる体幹前傾角度および足部接地パターンの片脚着地動作が、体幹・大腿部・膝関節・足部への着地衝撃に及ぼす影響について明らかにすることである。
【方法】健常大学生33名(男性17名、女性16名)を対象とし、高さ30cmの台からの片脚(右脚)着地動作を自由着地(SSL)、体幹前傾・つま先接地(LFL)、体幹直立・足底接地(URL)の異なる3条件で実施した。慣性センサーを体幹部(胸骨剣状突起)、大腿部、膝関節(脛骨粗面)、足背部(舟状骨部)に装着し、着地衝撃の指標として各部位の着地時の最大合成加速度を測定した。また矢状面から撮影した動画より初期接地時における体幹前傾、膝関節屈曲、足関節底屈角度を算出した。3条件間で体幹、大腿部、膝関節、足部の最大合成加速度、初期接地時の体幹前傾、膝関節屈曲、足関節底屈を比較した。
【結果】体幹、膝関節の最大合成加速度は、SSL、LFLと比べURLで高値、LFLと比べSSLで高値を示した。大腿部の最大合成加速度は、SSLとLFLに比べURLで高値を示した。体幹前傾角度はSSL、LFLと比べURLで低値、LFLと比べSSLで低値、膝関節屈曲角度はSSL、LFLと比べURLで低値、足関節底屈角度はLFLに比べURLで低値を示した。
【考察】LFLでは体幹前傾により足圧中心が前方に位置するため、足関節底屈筋の活動が増大することが報告されている。LFLは他の着地パターンと比べ着地時の膝関節、大腿部、体幹部への衝撃を軽減することが示唆された。
横山寛子, 逸見瑠生, 千々松雅人, 津田英一