本研究では校生女子バスケットボール選手28名を対象に、片脚着地動作に着目し、慣性センサで測定した体幹加速度と膝関節加速度との関連について検討した。その結果、体幹最大合成加速度と膝関節最大合成加速度の間に中等度の相関を認めた。一方で3方向の加速度においては体幹加速度と膝関節加速度との間に有意な相関は認められなかった。これは各方向の加速度は慣性センサの向きや傾きに依存するため、片脚着地動作時の体幹傾斜角度と下腿傾斜角度の違いにより体幹と膝関節に装着した慣性センサの傾きが変化したことが影響したと考えられる。体幹最大合成加速度と膝関節最大合成加速度の相関係数から、体幹合成加速度は膝関節も含む身体全体への衝撃評価には有用な可能性がある。しかしながら、各部位の加速度は慣性センサ装着部位の衝撃を反映するため、ACL損傷予防を目的とした膝関節への衝撃評価のためには膝関節加速度測定を行う必要があると考える。
横山寛子, 逸見瑠生, 千々松雅人, 津田英一