同一チームの高校生女子バスケットボール選手16名に対し、股関節機能、体幹筋トレーニング、動作指導に着目したACL損傷予防トレーニングを19ヶ月実施した。30cm台からの片脚着地動作の初期接地時の膝関節屈曲および外反角度、股関節屈曲および内転角度をAZURE KINECTを用いて測定した。トレーニング開始前、7ヶ月後、12ヶ月後、19ヶ月後の計4回測定し、各測定項目について比較した。トレーニング開始前、7ヶ月後、12ヶ月後、19ヶ月後の膝関節屈曲角度は18.3°、19.1°、21.3°、32.7°であった。トレーニング開始前、7ヶ月後、12ヶ月後と比較して19ヶ月後で有意に増加していた。股関節屈曲角度はそれぞれ36.3°・38.1°・41.9°・46.9°で7ヶ月後、12ヶ月後と比較して19ヶ月後で有意に増加していた。一方、膝関節外反角度及び股関節内転角度には有意な変化はみられなかった。19ヶ月間のACL損傷予防トレーニングにより、初期接地時における下肢関節キネマティクスは矢状面で有意な変化がみられた。一方で、前額面におけるキネマティクスには有意な変化は見られず、ACL損傷予防の観点からは効果は限定的であった。
逸見瑠生, 横山寛子, 津田英一