同一チームの高校生女子バスケットボール選手16名に対し、股関節機能、体幹筋トレーニング、動作指導に着目したACL損傷予防トレーニングを19ヶ月間実施した。トレーニング開始前、7ヶ月後、12ヶ月後、19ヶ月後の計4回、膝関節伸展筋及び屈曲筋、股関節外転筋及び内転筋の求心性等速性収縮筋力を測定し、ピークトルク体重比(Nm/kg)を算出した。各測定項目について測定時期間で比較した。トレーニング開始前、7ヶ月後、12ヶ月後、19ヶ月後のピークトルク体重比(Nm/kg)は膝関節伸展筋が2.6、2.5、2.7、2.4、膝関節屈曲筋が1.1、1.1、1.2、1.1、股関節外転筋が1.7、2.0、1.9、1.9、股関節内転筋が1.5、1.3、0.9、1.1であった。股関節外転筋ではトレーニング開始前と比較して7ヶ月後で有意な増加を認めた。一方股関節内転筋ではトレーニング開始前と比較して12ヶ月後、19ヶ月後で、7ヶ月後と比較して12ヶ月後で有意な低下を認めた。膝関節周囲筋に有意な変化はみられなかった。ACL損傷予防トレーニングを行った結果、股関節周囲筋では測定時期により有意な変化が見られたが、膝関節周囲筋も含め顕著な筋力増強効果は得られなかった。
逸見瑠生, 横山寛子, 津田英一