THA後患者の機能的LLDに対する運動療法または補高装具の無作為化比較試験を行い,2つの介入方法が,機能的LLD,主観的LLDに及ぼす効果を検討した。①通常診療に加え,機能的LLDの原因への特異的運動療法として股関節屈筋・外転筋群に対する等尺性収縮後の筋伸長法と,腰椎側弯に対する体幹側方移動運動と骨盤側方挙上運動を併用するspecific exercise approach群(以下,SEA群);②通常診療に加え,1枚5mm単位で高さを増減できるインソール型補高を併用するmodifiable heel lift群(以下,MHL群);③通常のリハビリテーション治療を行う対照群。3群間の患者特性およびベースライン時の機能的・主観的LLDに有意差はなかった。介入後の機能的LLDは,SEA群3.3±3.1mm,MHL群2.2±2.1mmで対照群6.4±4.0mmに比べ共に有意に小さい値を示した。介入後の主観的LLD有無の比率では3群間に有意差はなかったが,主観的LLD程度の比率は3群間で有意差を認め,主観的LLDが軽度の比率が対照群22.2%に対し,SEA群70.0%,MHL群75.0%であった。妥当性の検証では,block test計測値と主観的LLD程度共に機能的LLD指標である臍果長差との間にのみ,中等度の正の相関を認めた。
中野渡達哉,鈴鴨よしみ,高橋宏彰,永峯悠,阿部綾香,齊藤聡久,横山寛子,鴫原竜司,佐藤友梨花,鎌田宏之,出江紳一