アキレス腱断裂患者一症例の歩行を経時的に分析した。本例は,術後13週,フリー歩行を開始してから4週でストライド長,底屈モーメントの左右差が減少した。同時期に身体機能面では底屈筋力の向上がみられ,MMT3となっていた。このことから底屈筋力がMMT3以上有していれば歩容の改善が見込まれることが明らかとなった。本症例は術後早期より歩行量が保たれており,装具歩行となってからは1日5000歩程度の歩行量であった。底屈筋力トレーニングはセラバンドによる底屈運動やカーフレイズを行っていたが,それほど運動量は多くなかった。そのため,フリー歩行獲得までは歩行量を多くすることが底屈筋力の回復を促すことが明らかとなった。
石川大瑛,尾田敦,前田健太郎,浦本史也,横山寛子,藤林直樹,鹿内和也,伊藤亮太