TKA患者を対象に歩行立脚期の膝屈曲角度と身体機能の関連性について検討した。ICの膝屈曲角度と股関節伸展筋力の間に有意な相関関係を認めた(rs=-0.69、p<0.05)。膝関節伸展筋力との間には相関を認めなかった。そのほか、股・膝関節ともに伸展制限を有していた例が1例、膝関節のみ伸展制限を有していた例が1例、骨盤後傾を呈していた例が1例で、それぞれの膝屈曲角度は順にIC26.6、22.6、25.1、MSt26.2、27.2、32.9であった。脊椎後弯や脚長差を有していた症例はいなかった。股関節伸展筋力が弱いほど膝屈曲角度が大きい傾向を認めた。膝屈曲作用のない大殿筋や大内転筋の機能不全がハムストリングスの代償を招き屈曲角度が大きくなったと推測した。過度な膝屈曲歩行の修正には、股関節伸展作用を有する単関節筋群の機能改善、そしてハムストリングスの過活動抑制が重要と考えられた。
前田健太郎, 尾田敦, 石川大瑛, 浦本史也, 横山寛子, 伊藤亮太, 藤林直樹, 鹿内和也, 川村大介