高校性女子バスケットボール選手を対象に股関節機能に着目した膝前十字靱帯(ACL)損傷予防トレーニングを6カ月完実施し、トレーニング前後の股関節外転、膝関節伸展、屈曲筋力と高さ30cm台からの片脚着地動作の下肢キネマティクスの変化およびその関連について検討した。ピークトルク体重比は、股関節外転筋において軸脚、非軸脚ともにトレーニング後に有意に増加した。一方、膝関節伸展筋では有意な変化は見られず、膝関節屈曲筋では軸脚、非軸脚ともにトレーニング後に有意に低下した。下肢関節キネマティクスは、軸脚、非軸脚ともに最大膝関節屈曲時の股関節・膝関節屈曲角度が有意に増加した。前額面における下肢関節キネマティクスには有意な変化はなかった。トレーニング後の矢状面下肢関節キネマティクスでは股関節・膝関節屈曲角度が増加し、ACL損傷予防の観点から安全な着地動作の習得に効果があると考えられた。一方で、片脚着地動作における前額面キネマティクスを改善させるためには、股関節筋力強化に加え他の要因へのアプローチも必要と考えられた。
逸見瑠生,横山寛子,千々松雅人,津田英一