慢性脚関節不安定症(CAI)の有無と足関節捻挫受傷後の受診状況、応急処置、競技復帰に向けたトレーニング内容の実態を調査し、適切な治療の必要性に対する選手の意識を検討した。足関節捻挫の既往がある選手は29名52足、そのうちCAI群は8名10足であり、CAIの発生頻度は先行研究よりも高かった。受傷後に医療機関を「受診したことがある」のは非CAI群18名、CAI群7名であり、そのうち「最後まで治療を継続した」のは非CAI群10名、CAI群2名であった。また、両群のすべての選手が応急処置としてアイシングを実施しており、多くの選手が復帰に向けて足部・足関節筋力トレーニング、ストレッチを実施していた。CAI群では受傷後に継続して通院した選手の割合が少なく、応急処置や競技復帰に向けたトレーニングが重症度に応じた適切なものであったかは不明である。CAIの予防には、受傷後の医療機関受診に加え、適切かつ継続した治療の必要性を選手やその関係者が理解することが大切であると考える。
横山寛子,逸見瑠生,千々松雅人,前田凱,津田英一