大学女子バスケットボール部に所属し膝前十字靭帯(ACL)損傷患者2例を対象に、受傷前に実施したdrop vertical jump(DVJ)評価における両脚着地動作の特徴について検討した。症例1はDVJ評価の2年1か月後に左軸でのピボット動作にて左膝を受傷した。症例2はDVJ評価の1か月後にリバウンド動作の右片脚着地にて右膝を受傷した。症例1のDVJの膝外反角度(右/左)はIC時-2.4°/2.5°、peak vGRF出現時1.8°/15.8°、最大膝外反モーメントはtoe off(TO)時に出現し、371.9Nm/kg / 307.6Nm/kgであった。症例2のDVJの膝外反角度はIC時-0.6°/-1.1°、peak vGRF出現時-12.5°/-12.5°、最大膝外反モーメントはTOに出現し、265.7Nm/kg / 337.9Nm/kgであった。症例1ではICおよびpeak vGRF出現時に受傷側で膝外反角度が増大していたが、症例2では膝内反角度が増大しており、DVJのみではACL損傷リスクの評価は難しいと考えられた。DVJは体幹側方傾斜しにくい動作であるため、体幹・重心位置の影響を受けやすい片脚着地動作でのリスク評価も併せて必要と考えられる。
横山寛子,尾田敦,牧野美里,津田英一