小学校低学年児童における足部アーチ構造の形成過程と,それが運動能力に及ぼす影響について、小学1年時から3年時まで縦断的に比較した。各学年におけるアーチ高率の平均値は,小学1年時9.49±2.27%, 小学2年時8.51±1.78%,小学3年時9.18±2.01% であり,小学1年時と2年時の間と,小学2年時と3年時の間に有意差を認めた。各学年時におけるアーチ高率の高低による運動能力の比較では,小学3 年時の立ち幅とびで有意差を認めたが,その他の項目では有意差は認めなかった。アーチ高率の変化率では小学1年時から2年時にかけて49 名で減少し,平均で15.44±14.94% 減少していた。一方,小学2 年時から3 年時にかけては32 名で増加し,平均で2.57±10.47% 増加していた。2 つの時期間での変化率は有意差を認めた(p。アーチ高率は小学1 年時に比べ2 年時で有意に低下しており,アーチ高率の変化率でも,小学1 年時から2 年時にかけて約15% 減少していた。この時期は舟状骨高に比べ足長の成長が著しく,舟状骨高に対する足長が相対的に大きくなるためにアーチ高率が減少したものと考える。一方で,小学2 年時から3 年時にかけてアーチ高率は増加傾向にあった。今後,学年が上がるにつれどのようにアーチ高率が変化していくのかをみていくことで,足部アーチ形成過程が明らかになるとともに,小学生における適切な足部アーチ構造の評価方法について検討する材料となると考える。
横山寛子, 尾田敦, 成田大一, 鈴木あおい, 小泉沙貴