論文

基本情報

氏名 金井 徹
氏名(カナ) カナイ トオル
氏名(英語) Kanai Toru
所属
職名
researchmap研究者コード
researchmap機関

題名

務台理作における日本文化論の検討-西田幾多郎 (1940) 『日本文化の問題』に関する講述録を手がかりに -(査読付き)

単著・共著の別

単著

概要

本研究は、旧教育基本法を中心とする戦後教育理念の形成に一貫して関与した務台理作の日本文化論の特質を、これまで検討されてこなかった史料の分析を含めて、総体的に明らかにした。
 務台の日本文化論の前提となった基層・上層からなる文化概念は、個、民族、世界の三項の相互媒介関係を前提とする三項図式に基いて成立していた。務台は、民族の伝統の原型としての基層文化を、西田幾多郎(1940)『日本文化の問題』の内容を敷衍する形で、万葉集に見出そうとした。務台は、日本の基層文化の原型としての万葉の精神に、日常性の中にある非日常性への深い感動を見出す日本文化の原型を見出した。そして、日本文化を革新し創造し続け得る論理を導き出そうとした。
 務台の日本文化論の特質は、「文化」を、世界に媒介された多様な文化との関わりを通して日々革新される伝統を踏まえ、新たな文化の創造をめざすものと捉える点、そして、それと同時に、文化の頽廃を免れるために、文化の創造を、どこまでも基体即主体としての民族に期待するという点に見出される。こうした文化概念を前提とすることで、旧教育基本法の教育理念における「文化」の理解が導かれたのである。

発表雑誌等の名称

日本の教育史学、第67巻、教育史学会

発行又は発表の年月

202410