本研究は,アメリカの災害の分野で提唱されている新たな障害の捉え方であるAFN(Access and Functional Needs)の概念を援用し,博覧会会場など大規模なイベントやレジャー施設等を知的障害のある人が楽しむ上で生じる困りごと(AFN)を抽出することを目的とした.その結果,「ゆとり(広さ・時間)がないと困る」,「複雑な空間や情報(わかりにくさ)は困る」,「刺激が多い(環境変化・混雑など)と困る」など10の困りごと(AFN)が抽出された.それらの困りごと(AFN)は,他の属性の困りごととも共通しているものが多いが,「ゆとり(広さ・時間)がないと困る」については,知的障害のある人の困りごととしての認識率が低いことが明らかになった.