現実的な環境での歩行練習を実現するために、地上歩行に対するリアルタイムの聴覚フィードバックが開発した。本研究の目的は、異なる聴覚フィードバック条件の効果を評価し、身体機能に基づいて聴覚フィードバックが有効な脳卒中患者を特定することである。20名の脳卒中患者が、フィードバックなし(コントロール)、足関節底屈の増加に焦点を当てた聴覚フィードバック(足関節trial)、下腿伸展角の増加に焦点を当てた聴覚フィードバック(下肢伸展trial)の3つの6分間歩行トライアルに参加した。身体機能はSPPB(Short Physical Performance Battery)を用いて評価し、歩行機能は各試験の前後に慣性センサーを用いて歩行速度、ケイデンス、歩幅、関節運動で評価した。歩行速度(P = 0.001)、歩幅(P < 0.001)、足関節底屈角度(P = 0.014)、下肢伸展角度(P = 0.020)は、時間の経過とともに有意に改善した。ストライド長(P = 0.001)と下肢伸展角度(P = 0.003)には、時間とtrialの間の交互作用効果が観察された。聴覚フィードバックのうち、歩幅(P = 0.012)、 length-time difference(P = 0.003)、下肢伸展角度(P = 0.008)は、コントロールと比較して下肢伸展trialで有意に増加した。SPPBスコアは、下肢伸展trialが効果的な者と独立して関連していた(オッズ比:2.217、95%信頼区間:1.152-4.266、P = 0.017)。歩行中の下肢の伸展角度に焦点を当てたリアルタイムの聴覚フィードバックは、下肢伸展角度を改善することで歩行速度を向上させる可能性がある。
Araki S, Miyazaki T, Shibasaki J, et al. Examination of effect and responder to real-time auditory feedback during overground gait for stroke: a randomized cross-over study. Sci Rep. 2025;15(1):8519. Published 2025 Mar 12. doi:10.1038/s41598-025-93262-4