【目的】慢性期脳卒中患者に対して歩行中の関節運動をリアルタイムフィードバックする歩行練習の介入効果を検討することである。
【方法】対象は初発慢性期脳卒中患者4名とした。フィードバックの指標は歩行中の股関節伸展角度とし、算出するために慣性センサーを骨盤と麻痺側大腿に貼付した。フィードバックは、スマートフォン内の自作アプリケーションを用い、麻痺側股関節伸展角度が介入前評価時の最大伸展角度の120%を超えると音が鳴ることで実施した。フィードバックを用いた歩行練習は1回10分を週2回、4週間とした (計8回)。評価は、歩行練習開始前の1週間と歩行練習終了後の1週間で実施した。評価項目は、歩行速度、麻痺側股・膝・足関節角度、前方への床反力と関連のある立脚後期の前方への骨盤速度の増加量、life-space assessment(LSA)、活動量から得られた各強度の活動時間とした。
【結果】介入による有害事象は認めなかった。4症例のうち3症例で、麻痺側股関節の最大伸展角度(改善量0.7‒2.9°)、麻痺側立脚後期の骨盤速度の増加量が増加した(改善量0.01‒0.11m/s)。歩行速度が増加したものは半数であった (改善量0.8 m/s)。また、LSAは全症例で向上した (改善量4‒29点)。
荒木草太、奥村和美、石井麻美、佐藤孝平、黒澤啓志、柴田里奈、芝崎淳、宮崎宣丞、木山良二、髙村元章