【目的】主成分分析を用いて脳卒中患者の歩行中の骨盤加速度と麻痺側関節運動の関連を明らかにすることである。
【方法】本研究は2施設の横断研究で実施した。対象は脳卒中患者105名。歩行時に慣性センサーを用いて得られたデータより鉛直方向の骨盤加速度と矢状面の麻痺側股関節・膝関節・足関節の角度を算出した。骨盤加速度と関節角度の波形の特徴を明らかにするために主成分分析を行った。計学的解析では、鉛直方向の骨盤加速度と各関節運動の関連性を明らかにするために骨盤加速度の8個の主成分を説明変数、各関節の主成分1個を目的変数とする重回帰分析(ステップワイズ)を実施した。
【結果】股関節の第2主成分を除く全ての主成分で有意な関連を認めた(R2= 0.070–0.373、p < 0.001)。
膝関節の第3主成分(遊脚中期の成分、寄与率11.5%)では骨盤加速度の第1主成分(両脚支持期と遊脚中期の成分、寄与率33.2%)(β = 0.564、p < 0.001)、足関節の第1主成分(立脚初期から中期、遊脚中期から後期の成分、寄与率54.6%)では骨盤加速度の第1成分 (β = 0.527、p < 0.001)、第2成分(立脚中期と遊脚初期・後期の成分、寄与率21.6%)(β = 0.328、p <0.001)が有意な要因と選択され、特に、骨盤加速度との関連が強い要因であった(R2= 0.311、0.373)。
荒木 草太, 松浦 央憲, 安孫子 洋, 阿部 功, 芝崎 淳, 奥村 和美, 木山 良二