【はじめに】
本研究の目的は回復期脳卒中片麻痺者を縦断的に評価し, 身体活動量と身体・歩行機能, 心理面を含む多様な評価の変化量との関係性を検討することである.
【方法】
研究デザインは多施設前向きコホート研究とし, 2施設で実施した. 対象は2か月以上入院し, 初回評価時に歩行速度が1.0m/s未満であった初発脳卒中片麻痺者16名とした (71.8 ± 11.5歳). 評価項目は, 身体機能の評価として下肢Fugl-Meyer assessment, Berg Balance Scale, Trunk Impairment Scale, 下肢のMotricity Indexを実施し, 認知機能はMini-Mental State Examination, 自己効力感は日本語版Activities-specific Balance Confidence (ABC) を用いた. また, 歩行機能は6分間歩行距離, 10m歩行テスト時の快適歩行速度を評価し, 身体活動量は1.0‒1.5METsの座位行動時間, 1.6‒2.9METsの軽強度活動時間, 3.0METs以上の中高強度活動時間, および歩数を計測した. 各評価項目の縦断的変化および2時点の変化量における身体活動量と他の評価項との関連性を検証した. 統計学的検定は, データ分布の正規性に応じて, 初回評価時と退院時の縦断的変化の検討には対応のあるt検定あるいはWilcoxonの符号付順位検定を用いた. また, 身体活動量と各機能の変化量との関連性の検討にはピアソン積率相関係数もしくはスピアマンの順位相関係数を用いた. 有意水準は5%未満とした.
【結果】
発症からの期間は初回評価時が48.7 ± 28.1日, 退院時が143.3 ± 36.3日, 歩行速度は初回が0.69 ± 0.20m/s, 退院時が0.86 ± 0.26m/sであった. 縦断的変化では座位活動時間 (P = 0.158), 軽強度活動時間 (P = 0.098) を除く全ての評価で有意な改善を認めた (P < 0.05). また, 身体活動量と各機能の変化量における関連性の検討では, 座位活動時間は有意な関連性を示す項目を認めなかった. 軽強度活動時間ではABC (r = 0.517, P < 0.05) と6分間歩行距離 (ρ = 0.712, P <0.01), 中高強度活動時間ではABC (ρ = 0.553, P < 0.05), 歩数ではABC (ρ = 0.594, P < 0.05) が有意な関連性を示した.
【結論】
入院中の脳卒中片麻痺者の軽強度以上の活動量時間の増加には自己効力感の改善が関連している可能性が示唆された.