【はじめに】
フィードバックを用いた歩行練習は歩行の推進力や歩容を変化させ、慢性期脳卒中患者の低下した歩行機能の向上に寄与すると報告されている。しかし、フィードバックを用いた歩行練習の多くはトレッドミル上の歩行である。慢性期脳卒中患者を対象に床上歩行でのフィードバックを用いた歩行練習の効果が明らかになれば、施設や通所利用者における歩行の自主練習装置として活用することも可能と考えられる。本研究では、慢性期脳卒中患者に対するリアルタイムフィードバックを用いた歩行練習の即時効果を検討した。
【方法】
対象は通所リハビリテーションを利用する初発慢性期脳卒中患者20 名とし、フィードバックを用いた歩行練習前後の歩容を比較し、即時効果を検討した。フィードバックに使用する関節角度を算出するために慣性センサーを貼付した。歩行条件は通常歩行(通常条件)と麻痺側立脚後期の足関節底屈角度(足関節条件)もしくは下肢伸展角度(下肢伸展条件)をフィードバックした3条件とした。関節角度のフィードバックは快適歩行時の関節角度から20% 以上増加するとリアルタイムに音が鳴ることで実施した。 条件につき6 分間実施した。Off の間も教示した歩容を継続するように指示した。歩容は練習前後の10m 歩行テストで計測した。練習前は快適歩行、練習後はフィードバックはOff で練習した歩容を再現するように指示し測定した。データは各歩行の中央5 歩行周期を解析し、歩行速度、ケイデンス、ストライド長、麻痺側立脚後期の足関節底屈角度、下肢伸展角度(矢状面上の大転子と外果を結ぶ線と、垂直線のなす角度)を算出した。統計学的検定は時間と条件を要因とする反復測定の二元配置分散分析を行い、交互作用を認めた項目の練習前後の変化量をTukey 法で比較した。有意水準を5% とした。
【結果】
歩行練習による有害事象は認めなかった。練習前の歩行速度は0.82±0.32m/s であった。ケイデンスを除く全ての項目で時間の主効果を認めた(p<0.05)。ストライド長、下肢伸展角度において交互作用を認めた(p<0.01)。事後検定の結果、通常条件に対して下肢伸展条件がストライド長、下肢伸展角度で有意に増加していた(p<0.05)。