本研究は、「感受性」研究を、従来の18世紀の枠組みから広げ、17世紀後半から19世紀前半までも含めた「長い18世」における、精神性の問題も含めて多様な言説との関係の中で問い直し、従来の「感受性」研究では、中心的ではなかった(医学言説以外の)科学言説、宗教言説、(女性だけでなく男性、クィアも含めた)ジェンダー言説と感受性の関係性の中で考察した。具体的には、近代的な主体が誕生する/構築される時代において、(1) 肉体・精神・魂の関係性の多様な可能性(の模索)という文化的状況を再構築すること、(2) 主体が単独にもつ感覚/感性、主体同士が共有する/対立させる感覚、そして感性がもつ意味の変容と多様化の過程を明らかにすること、(3) 「感受性」という概念を、18世紀後半における「文学」の果たす新たな機能の模索という観点から捉え直した。