英文学者夏目漱石がルネッサンスから自身と同時代20世紀初頭に至るまでの英文学をどう捉えていたのか、漱石の英文学史観を分析した。漱石が「浪漫主義」と「自然主義」の観点から英文学を捉えている中で、特にイギリス・ロマン派詩人たちをどう英文学史の中に位置づけていたのかを整理し、漱石の英詩やバーンズ、シェリー、キーツ、ワーズワースらロマン派詩人の漱石による英詩分析の特徴を考察した。さらに、イギリス詩人やラファエロ前派との関連性から、漱石の英詩や『草枕』における文学と絵画の問題エクフラシスについて考察し、そうした英文学者としての着眼点が自身の創作活動においてどう作用しているかを明らかにした。