漱石とホイットマン―イギリス・ロマン派詩人との比較対照を通じて―
本稿では、従来あまり重要視されてこなかった英文学者夏目漱石とアメリカ民主主義の代表詩人ウォルト・ホイットマンとの関連性を探っている。漱石の創作した英詩、及び、漱石によるバーンズ、シェリー、バイロン、ワーズワース、スコット、テニスンらイギリス・ロマン派詩人やヴィクトリア朝詩人の分析と比較対照しながら、漱石のホイットマン論を考察した。そこから浮かび上がるホイットマンの平等主義と友愛精神への漱石の共鳴が、漱石晩年の「則天去私」の哲学的思想・創作家の態度として底流をなしていることを明らかにしている。
東北生活文化大学・東北生活文化大学短期大学部紀要 第50号 pp.87-96