セルフケアツールにおけるコンピュータによるフィードバックが与える影響については、ほとんど知られていない。技術的には、自然言語処理と機械学習により、セルフケア支援ツールにおいてコンピュータによるフィードバックを提供することが可能である。本研究では、SFBTに基づくセルフケアツールにおいて、コンピュータによるフィードバックありの条件とフィードバックなしの条件を比較した。フィードバックあり条件では、目標設定で回答した目標が具体的または現実的である確率を機械的に判断してフィードバックが行われた。501名の参加者を募り、フィードバックあり(n=268)、フィードバックなし(n=233)のいずれかの条件に無作為に割り付けた。その結果、コンピュータによるフィードバックは問題の解決度を高めることが示された。一方、SFBTに基づくセルフケアツールによって、解決構築、ポジティブおよびネガティブな感情、生活の理想度が、フィードバックの有無にかかわらず上昇した。また、目標の具体性・現実性の確率が高いほど、解決構築とポジティブな感情が高まる程度が大きいことが示された。本研究の結果は、フィードバックを伴うSFBTに基づくセルフケアツールが、フィードバックを伴わないものに比べ、より効果的であることを示唆する。