解決志向短期療法では、目標の条件として、具体性と実現可能性があげられている。その一方で、明確な解決像を持ち、具体的で、実現可能な目標を設定することによる影響を実証的に検討した研究は存在しない。そこで、本研究ではセラピストの視点およびクライエントの視点から評価される、解決像の明確さと目標の性質が問題解決に及ぼす影響を検討した。調査協力者は大学生と大学院生223名(男性74名、女性149名、平均年齢=20.77歳、標準偏差=1.62)であった。分析の結果、解決像の明確さ、目標の具体性および実現可能性について、調査協力者による自己評定と専門家による評定の間には有意な相関がみられた。また、専門家による目標に関する評定は、解決構築、解決志向、原因分析に対して正の影響を示した。その一方で、解決像の明確さや目標に対する自己評定は、自己効力感や問題解決に対して正の影響を示した。これらの結果から、解決像の明確さと目標の具体性および実現可能性に関する自己評定や専門家による評定は問題解決に様々な形で影響を及ぼすことが示された。
Gen Takagi, Taku Hiraizumi, Kazuma Sakamoto, Miki Hagidai