本研究の目的は、うつ病の診断(うつ病ラベル)が他者との言語的および非言語的コミュニケーションに及ぼす影響を検討することである。本研究では、話し手役が語る個人的な問題を実験参加者が聴くという状況を設定した。独立変数は、話し手役のうつ病ラベルの有無、話し手役のうつ病エピソードの有無、従属変数は、実験参加者の言語指標と非言語指標であった。 非言語指標としては、笑顔、視線、沈黙、発話、距離などが用いられた。その結果、話し手役にうつ病のラベルが有る場合は、ない場合よりも、聴き手役の参加者が休憩を取ることに言及する割合が高いことが示された。また、うつ病エピソードを示し、うつ病ラベルがない話し手と会話する参加者は、うつ病エピソードを示さず、うつ病ラベルがない話し手と会話する参加者よりも、マネージメント言語が少ないことが示された。
鴨志田冴子・高木源・三道なぎさ・若島孔文