本研究の目的は,萩臺他(2018)により提案された海上保安庁ハラスメント・チェックリストについて,加害者,被害者,傍観者という3つの立場から見たハラスメント行為について検討を行い,それぞれの尺度の信頼性を明らかにすることである。海上保安庁職員94名を対象に質問紙による調査を行った。質問紙は,萩臺他(2018)が作成した海上保安庁ハラスメント行動尺度を,加害者用,被害者用,傍観者用に修正したものを用いた。因子分析の結果,パワー・ハラスメントとセクシャル・ハラスメントの尺度について,加害者,被害者,傍観者の立場の違いによって,それぞれの尺度の構成概念が異なることが示された。また,信頼性を検討するため,それぞれの尺度についてα係数を算出したところ,十分な値を示した。最後に,海上保安庁ハラスメント・チェックリストについて,立場の違いによる尺度としての利用可能性と課題について考察を行った。
173-188
小林 大介・萩臺 美紀・ 高木 源・坂本 一真・二本松 直人・若島 孔文