本書は、SFBTとセルフケアについて紹介した第一部、SFBTの基礎的な研究を紹介した第二部、SFBTに基づくセルフケアツールの研究について紹介した第三部から構成される。第一部では、SFBTの歴史的な背景から基本的な理念を示し、理論と技法について紹介した。第二部では、SFBTの基礎的な研究として、解決構築というSFBTの鍵概念を中心とする基礎研究について紹介した。ここでは、なぜ解決構築の力を高めることが重要なのか、どのような要因から解決構築の力が左右されるのか、といったSFBTに関する基本的な内容について検討を行った結果を紹介した。第三部では、SFBTの中でも、ミラクル・クエスチョン、例外探しの質問、観察課題といった技法を中心として、セルフケアに応用した場合の効果を紹介した。加えて、セルフケアの取り組み方の影響を検討するために、セルフケアへの回答内容がセルフケアの効果に及ぼす影響を検討した結果についても報告した。さらに、より効果的なセルフケアを目指して、機械学習や自然言語処理の技術を応用したセルフケアの開発と効果の検討を行った結果についても紹介した。これらの研究を通じて、解決構築を促進するためのポイントを示した。また、最期の章では、本書の研究を通じて残された議論とこれからの研究の展開について紹介した。