【はじめに】単心室症はチアノーゼ性先天性心疾患であり,出生後早期に手術が施行される場合が多く,成人期まで手術が未施行である症例は珍しい.今回成人期単心室症の術後リハビリテーションを経験したので報告する.【症例】27歳,男性,臨床工学技士.出生時に単心室,単心房,肺動脈狭窄,下大静脈欠損/半奇静脈接合と診断され手術歴なく経過観察となっていた.その後手術希望あり,肺動脈圧低値,心室壁運動/弁機能に問題なく手術可能と判断され,両方向性グレン手術を施行された. 【術後経過】SpO275%未満の低下を運動中止の基準とし,可能な限り低酸素状態を避けるよう留意して術後翌日にリハビリテーション介入,16日目にリハビリテーション室出療しエルゴメーターや自重負荷でのレジスタンス運動を開始.不整脈多発や,精神面の不調等で介入できない期間も続いたが,46日目にリハビリテーション室での運動を再開.退院前にHOT導入され,運動時にSpO2 値をフィードバックし生活指導を行った.68 日目に退院となり,外来にてCPX実施,119 日目に職場復帰となった.【考察】グレン手術により右-左シャント血流が減少し酸素化と運動耐容能の改善が見込まれるが,同時に運動による肺動脈圧上昇に配慮が必要であった.バイタルサインや自覚症状から運動による過負荷の有無を確認し徐々に運動負荷を増加させていくことでADLを拡大できたと考える.成人期では小児期に比べ活動量が多く就労への配慮も必要であり,SpO2 値をフィードバックした生活指導やCPXで適切な運動耐容能の評価したことで職場復帰できたと考える.