本研究は、東日本大震災から復興における子どもへの支援で具体化が求められてきた子ども参加を分析軸として、国の復興における子どもへの支援はどうあるべきかを明らかにすることを目的としている。その際、子ども参加の具体化の担い手となるNPO等市民団体への支援を国がどのように構築してきたのか着目し、復興における子どもへの支援に関わる政策分析を行った。具体的には、①公的に公表されている東日本大震災における子どもたちの被害状況の確認、②国による震災後の子どもへの支援の実施体制の確認、③東日本大震災後の子どもへの支援内容に関する政策分析を実施した。その結果、子ども参加の実現を担うNPO等市民団体との協働を十分に構築することなく、復興における子どもへの支援が今日まで展開されてきたことを明らかにした。復興における責任を一番に負う国において、制度として位置づく震災遺児・孤児やスクールカウンセラー等による支援を主体的に展開するのと同時に、子ども参加の実現のためのNPO等市民団体との協働を実現する必要性を指摘した。そのためにも、現在いくつかの自治体に設置されている子どもオンブズパーソンのような、国の子ども施策に対するモニタリングや、調整・勧告をする独立機関を設置し、有事であるからこそより積極的に子どもの権利が実現できる体制を構築していくことを提起した。