東日本大震災から10年が経過した中,震災を経験した子ども・若者たちへの継続的な支援の必要性が指摘されてきている.そこで,児童福祉における継続的な子ども・若者支援を展開するための仕組みはどのようにあるべきか研究を行った.具体的には,基礎自治体においてどのように継続的な支援を位置づけようとしてきたのか,宮城県の沿岸部の自治体が策定した子ども・子育て支援事業計画の分析を行った.その結果,多くの自治体では社会問題として可視化された子ども・若者たちの課題に対して,事業計画に支援を位置づいてきた.特徴的な取り組みとして注目される石巻市は,震災以前より子どもの権利条例を制定しており,子どもの権利を具現化するために,子ども・若者参画を手がかりとした居場所を震災後設置していた.平時より地域で子ども・若者の権利を具現化に取り組むことが,継続的な支援システムの構築につながる可能性が示唆された.