地域からの起業やイノベーションが次々に創出できるための要素や環境について、ケースの収集を踏まえて考察することを目的にしている。特に、起業やイノベーションの担い手は民間であるとし、民間からの動きが連続して生起する要素・環境を解き明かすことを重視した。具体的な調査対象は、地域から世界を見据えるシリアルアントレプレナー(連続起業家)による廃校を利用した創業支援施設、地域内外からの支援を活用して活動する創業支援施設、地域の取り組みを応援する新しい金融サービス事業者(クラウドファンディング)、そして意欲的な地域の起業家などである。結論としては、起業家などの挑戦する者の個人的な意欲が起点になることは言うまでもないが、地域としての環境を考える場合には、挑戦する者(挑戦したい者)の意欲を引き出し、伸ばし、つなぐ仕掛けの重要性である。例えば先駆的な起業家・支援者の活動から刺激を受けながらの学びや気づきがあり、その中でのネットワークづくりなどが重要である。また、「挑戦して良い、失敗は恐れない」という文化の形成も重要であることが浮かび上がった。
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