東日本大震災は産業経済的側面においても被災地全域に影響を及ぼした。沿岸部の産業は津波を主体として甚大な被害を被ったが、内陸部の産業においても直接・間接的に大きな影響が あった。復興への取り組みは沿岸部・内陸部ともに進められてきたと考えるが、産業ごとの変 遷、地域ごとの変遷、地域の交易を踏まえた変遷などの検証はしっかりとなされていくべきだ と考える。
本研究では、産業連関表をツールとして、震災前・直後・集中復興期間(復興初期)の 3 つ の段階にわたり地域間・産業間の被災・復興の状況を比較検討することにより、大災害におけ る地域産業経済の被害の影響と復興の特徴を導き出すことを目的とする。具体的には、公表さ れている産業連関表を沿岸部と内陸部に区分したうえで、発災前後に該当する平成 17 年・23 年・25 年の地域間産業連関表を作成し、沿岸部・内陸部の経済交流を踏まえた分析を行うもの である。