24時間社会といわれる現代において,不眠で悩む人々の数は非常に多い.ある報告によれば,国民の5人に1人は不眠で悩んでいるとの報告がある.しかし,その治療を求めて実際に医療機関を受診するものは決して多いとはいえない.多くは,そのまま不眠を放置するか,寝酒や市販薬などの代替手段で解決しようとする.慢性化した不眠はQOLの低下を招き,心身ともに健康に重大な影響を与える.それらは更に事故や欠勤,学力低下などにも結びつく.不眠が及ぼす経済的・社会的な損失は大きいといえよう.
一方,不眠については不明な点も多く,機序の解明もまだ十分とはいえない.医療者側の知識の整理が不十分である場合は,患者を前にその説明を試みても,予想以上に難渋してしまうことが多い.
特集にあたり、概論として,不眠症についての概念,定義について解説をおこなった.
pp.1459-1462
武村 尊生, 武村 史, 神林 崇, 清水 徹男