本稿は,慢性疼痛の治療における心理学的アプローチの重要性を再考し,患者の症状や状況に応じた多面的な治療の必要性とともに,患者の意向に沿った介入の重要性について論じたものである。慢性疼痛患者の痛みは,身体的な要因のみならず,感情的・認知的な要因や心理社会的要因も密接に関与しており,患者ごとの個別性も高いため,その状況を踏まえた多角的なアセスメントと対応が求められる。特に,慢性疼痛患者の痛みには,身体的な症状だけでなく,心理的要因(不安,恐怖,将来への懸念など)が強く影響し,これらを適切に理解し対応することが治療の成否につながる。しかし,心理的介入は患者の内面というデリケートな領域を扱うため,拒む患者も少なくない。そこで本稿では,患者に配慮した心理的アプローチを実践するための方法とその重要性について解説する。
武村尊生,山口重樹.
慢性疼痛 VOL.44 No.1 pp.12-17