本稿は,慢性疼痛患者の診療における心理学的アセスメントの重要性と,実施上の留意点を解説したものである.
慢性疼痛は,身体的要因のみならず心理社会的要因も密接に絡んでおり,患者の多面的な評価が不可欠である.心理学的アセスメントは,患者の精神・心理的背景や葛藤を理解し,治療や支援の方針決定に役立つ重要な情報を提供する.その一方,内面世界である「こころ」に踏み込まれることに,患者は脅威や不安を感じることも少なくない.心理学的アセスメントの際は,これらの特徴を医療者側も十分に理解し,慎重な対応が必要であることについて,心理専門職の立場から論じた.
武村 尊生,佐々木 史,山口重樹.
pp.248~252