ナルコレプシー以外の過眠症についてはまだ不明なことがほとんどではあるが,少しずつ解明の糸口が見えつつある疾患もある.一方で,本態性のナルコレプシーもいまだに見過ごされやすい疾患である.正しい診断と治療を受けることのないままに,低い自己評価と社会適応水準に甘んじている患者も多数存在するものと推測される.特に小児一早期思春期症例では症状が典型的でないうえ,脳波検査などで確定診断ができる施設は限られるので,早期の確定診断は困難である.CSF中のオレキシンの定量にて診断が可能であれば,14歳が発症のピークといわれるナルコレプシーの早期発見・早期治療に大いに貢献しうると考える.
神林 崇,中村道三.丸山 史.武村尊生.清水徹男.