ロールプレイ形式によるコミュニケーション技術教育の医学生における有用性について、がん診療における「悪い知らせ」を伝える場面を中心に検討した。医学部6年生のうち、臨床配属で精神科を選択した20例を対象とした。FATCOD-B-Jでは、「死にゆく患者へのケアの前向きさ」については統計上有意な変化はなかったが、「患者・家族を中心とするケアの認識」については有意に上昇した。また、死生観尺度については、いずれの因子も統計上有意な変化は認めなかった。講義後の感想としては、ほぼ全員が「意外に楽しかった」という内容を書いていた。また、「患者さんが見たり感じたりしている世界を初めてリアルに想像した」「医者って人の人生を左右してしまう、本当に大変な仕事なんだと分かった」「急に現実感が湧いた」といった、医療者になる実感について記載した者が多くいた。
学生に起きた変化、ロールプレイ形式の講義の有用性について論じた。
pp..57-61
武村 史, 武村 尊生, 清水 徹男