パネルディスカッションを企画し、座長を務めた。
企画要旨:
「緩和ケア」に対する苦手意識の背景には、「スピリチュアル」という言葉の難解さや、語感に宗教性を連想させることが関与していると考えられる。とりわけ「霊的苦痛」と直訳されていた歴史や、スピリチュアルケアが「死を目前にした患者への高度で専門的なケア」として紹介されることが少なくない現状は、その敷居の高さを助長しているのではないだろうか。
さらに、近年ではスピリチュアルケアを「一部の専門職のみが担うべき特別な関わり」と位置づける主張も散見されるが、こうした見解は日常診療に携わる医療者の関与をためらわせ、結果として患者の苦痛に向き合う機会を失わせかねない。スピリチュアルケアは、誰もが担いうる日常的なケアのひとつであり、本来、特定の専門性に依存すべきものではないと考える。
スピリチュアルペインは、がんをはじめ、慢性疾患、外傷後の障害など、あらゆる病期・疾患において生じうる。人が「自分らしさ」や「社会とのつながり」を喪失したときに感じる実存的な苦しみは、生命や死といった大きな問いに限らず、「これからどう生きるか」「何を支えにしていくか」といった日常的なテーマとも深く関係している。
本パネルディスカッションでは、麻酔科医師、精神科医師、緩和ケア認定看護師の3名をパネリストとして迎え、それぞれの経験をもとに、スピリチュアルペイン、スピリチュアルケアの捉え方やの関わり方などを共有する。
本企画が、「スピリチュアル」という言葉に戸惑いや距離を感じてきた医療者にとって、その意味を身近なものとして再考する契機となり、スピリチュアルケアがより広く実践される一助となることを願っている。