精神科医療における地域リエゾンにおける問題に対し、心理専門職の立場から論じた。
神経障害性疼痛や慢性疼痛に対し、抗うつ薬が広く使われるようになって久しい。最近では、慢性腰痛症、変形性関節症にも適応を持つデュロキセチンの処方が増えている。しかし、デュロキセチンは自殺念慮、自殺企図、敵意、攻撃性等の副作用の発現リスクが知られ、実際、精神科医以外から処方を受けている患者が自殺企図で搬入されるケースも散見される。このため、特に処方機会が多いと予想される整形外科医に対し、デュロキセチン処方について調査した。
調査結果からは、慢性疼痛診療自体、整形外科医の間でもかなり温度差があることが推察された。熱心な群では多くの患者を診療しており、中には身体症状症に該当する患者も含まれると考えられる。デュロキセチン処方に限らず、日頃からの地域における精神科医との連携体制構築を検討すべきと思われた。
佐々木史、西本武史、武村尊生