その他

基本情報

氏名 武村 尊生
氏名(カナ) タケムラ タカウブ
氏名(英語) Takemura Takaubu
所属 総合福祉学部 福祉心理学科
職名 准教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

タイトル・テーマ

子宮頸がんを「ひとごと」にしないために

単著・共著の別

その他(発表学会等)

発行又は発表の年月

202402

発表学会等の名称

第53回 日本慢性疼痛学会 市民公開講座 講演【招待】(あしかがフラワーパークプラザ/栃木県足利市)

概要

ヒトパピローマウイルス(以下:HPV)は,女性の多くが「一生に一度は感染する」と言われているウイルスです。また,感染しても殆どの場合は免疫の働きによって体外に排出されるとも言われますが,子宮頸がんをはじめとした多くの病気に関係しています。
 「がん」ときくと,どのようなことが思い浮かぶでしょうか。多くの場合「自分とは縁遠いこと」「今はあまり関係ないこと」など,それほど身近に感じられないという方もいらっしゃるかと思います。しかしながら,がん全体の罹患率で見た場合は,生涯を通じて2人に1人ががんになり,子宮頸がんでは毎年約1万人が罹患するという報告があります。こうしてみると,がんは決して縁遠い問題とはいえず、自分たちにとって無関心でいられるものではありません。
 「無関心」とは,広い意味では「興味がない」「関心がない」ことを指しますが,心理学的には,ある特定の事象に「無関心」でいることにより,その脅威から自分自身を守っているともいわれています。つらいことや怖いことから自分を遠ざけることができますが,一方では有用な情報が入ってくる機会が激減するというデメリットがあります。情報の不足は,ヒトの不安を大きくしてしまう要因のひとつとなります。こうして抱いた不安のために,その問題からさらに遠ざかってしまうという悪循環に陥ることも少なくありません。
この不安を払拭するためには,適切な情報に多く触れることも有効です。子宮頸がんワクチンを巡っては,多くの立場から様々な意見があります。メリットとデメリットについても有用な情報が沢山あります。それらをもとに情報の取捨選択を行い,HPVを巡る問題を「ひとごと」ではない自分のこととして考えていただければと思います。
 今回の市民公開講座が,多くの患者さんの人生の最終段階に立ち会った心理専門職の立場から,みなさんにとって後悔のない意思決定の一助となることを願っています。