その他

基本情報

氏名 武村 尊生
氏名(カナ) タケムラ タカウブ
氏名(英語) Takemura Takaubu
所属 総合福祉学部 福祉心理学科
職名 准教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

タイトル・テーマ

心理専門職の視点から見たオピオイド鎮痛薬の不適切使用

単著・共著の別

その他(発表学会等)

発行又は発表の年月

202402

発表学会等の名称

第53回 日本慢性疼痛学会 特別講演 【招待】(あしかがフラワーパークプラザ/栃木県足利市)

概要

オピオイド鎮痛薬は, その強力な鎮痛作用ばかりではなく,患者の感情や行動,認知機能にも影響を及ぼすことが知られている。このことから,ケミカルコーピングをはじめとしたオピオイド使用障害など様々な問題が表面化している。そこには,不十分な疼痛コントロールに加えて,患者の精神・心理社会的側面の関与や,患者が直面しているストレスとの関連なども指摘されている。
 演者の臨床経験からも,オピオイド鎮痛薬の不適切使用に陥る患者は,心理・社会的背景,特にスティグマ,社会的孤立といった問題があり,生きづらさを抱えていることが多いと考える。これらには,適切な疼痛コントロールと並行し,精神・心理的問題の適切なアセスメントと,それに基づく対応が重要である。
 これらの問題のアセスメントと支援を行うことは,心理専門職の役割の一つである。しかし,疼痛緩和やオピオイド使用障害には多職種連携によるチーム介入が必要であり,精神・心理的対応についても,スタッフはそれぞれの職種の立場から丁寧に行っている。その中で,精神・心理的対応についての難しさに関する相談を受けることも多い。患者の希望が叶えられないとき,予期せぬ患者の行動や言動に直面したとき,その対応への苦慮や診療そのものへの困難感を訴えるスタッフも少なくないと実感している。
 心理専門職の役割を考えた場合,患者への直接対応はもちろんのこと,チームのスタッフについても,個々のスタッフがどのような想いで診療にあたっているのか,様々な感情が診療に影響を与えていないかなど,診療全体を俯瞰し,精神・心理的対応で困ることのないようなサポートを行うことも役割の一つと考える。