スピリチュアルペインを実存的苦痛と捉えた場合、演者のこれまでの臨床経験から、がん患者の一群には、セルフスティグマや社会的孤立、自己効力感の低下といった心理社会的問題が存在し、生きていく上での様々な困難感を抱えている者が多いと考える。従って、身体的ケアと並行し、精神心理的なアセスメントと、それに基づく対応が重要である。人は困難な状況に陥った際、他者との関わりを通じて回復に向かうことは既に広く知られており、それが可能となる支援が必要である。
上記を踏まえ、他の医療職が心理的支援を行う際の留意点、心理学的支援を患者に勧める際のコツ、患者との良好な関係構築について述べた。
更に、心理学的支援を患者が望まないままに心理専門職が紹介されてしまう事案も少なくないことについて触れ、公認心理師の支援者支援について平易な表現で解説を行った。