オピオイド鎮痛薬は、強力な鎮痛作用のみならず、認知機能、感情、行動などにも影響を及ぼすことから、ケミカルコーピングをはじめとした不適切使用などの様々な問題が表面化している。ケミカルコーピングの背景には、不十分な疼痛コントロールに加え、患者の心理社会的側面の複雑な関与や、患者が対峙している精神的ストレスとの関連も指摘されている。演者が実際に経験した患者の中にも、心理社会的背景、特にスティグマや社会的孤立等の生きづらさが併存している例が散見された。
これらの対応には、痛みのコントロールと並行し、精神・心理的側面や患者の抱える生きづらさついて、適切なアセスメントとマネジメントが必要となる。さらに、患者の苦痛の背景には、心理的側面以外の様々な問題が存在するため、多職種が連携した対応が重要である。多職種連携によるチーム介入が必要な場合は、チームが精神・心理的介入で困らないためスタッフ支援を行うことも、心理専門職の重要な職責であることについて論じた。