昨今、がん医療の現場において精神心理ケアの重要性が強調され、臨床心理士や公認心理師といった心理専門職の役割も注目されている。同時に、協働する他職種からの期待も大きいことを実感している。
しかしながら、その業務内容が適切に理解されているとはまだ言い難い状況にある。演者もがん診療に携わるスタッフの1人であるが、ときに他の職種からは、明らかに誤解に基づいた要望が寄せられ、その説明と対応に困惑することもある。そもそも心理専門職は、全てを解決する魔法の言葉などは持っていないし、相手の心が手に取るように読めてしまうわけでもない。実のところ、心理専門職も患者対応に悪戦苦闘している1人にすぎないのである。しかしこれらは、我々心理専門職からの説明が不充分だったことも一因であると考えられるため、深く反省したい。
当日は、臨床心理士/公認心理師といった心理専門職について簡明に概説し、我々が日々現場で実践している心理学的支援とはどのようなものであるのかについて解説を行った。