東日本大震災で甚大な津波被害を受けた仙台市若林区の被害状況（３００人以上の犠牲者、最大２０４４９名の被災者が５３ケ所の避難所に避難）と、保健活動について報告した。震災直後、保健師１２名を被害状況の大きい地域の指定避難所から配置し、救護活動を開始した。通信が途絶え、交通手段の確保も難しい中で、保健師が一人で緊急搬送の判断・連絡を行うなど、厳しい状況だった。発災３日後より他都市の保健師派遣の支援が得られ、地域性を踏まえたチーム編成を行い、指定避難所だけでなく浸水地域の自宅で生活している住民への健康調査を行なうことができた。また、医療チーム、心のケアチーム、運動指導者チーム等と一同に情報を共有するため、朝夕のミーティングを実施し、包括的な保健医療活動を展開することができた。今回の災害時保健活動を振り返り、初動時から通常の保健師の分散配置を超えた危機管理体制で活動ができたことは、これまで災害時保健活動実務マニュアルの読み合わせなどの研修を実施していたことによると思われた。また、災害時の保健活動において地域の協力を得るためには、日頃の地域保健活動が重要であることを再認識した。
第47回宮城県公衆衛生学会学術総会 抄録集 p.8
藤原江美子，川村郁子，岡崎史子，小泉玲子，長岡富士子，豊福明子，菅原晶子，天野美榮子，及川艶子，赤井由紀子
