生物学的性差が明らかになり,男性の基準で作成された診断や治療法は女性にとって最良の医療ではないことから,性差を医療にとりいれようとする一種の医療改革である「性差医療」が,1999年日本に紹介され,昨今女性外来が多く開設されてきている.性別によりかかりやすい病気をみると,男性は死に直結する病気(脳血管障害,胃癌など)が多く,女性は更年期以降の生活の質に影響される病気(骨粗鬆症,貧血,リウマチ,認知証など)が多い.老年疾患は性差がはっきりあらわれている.性差の出る理由の1つである性ホルモンの一般知識,ホルモン療法の各疾病におよぼす影響の追跡調査(WHI),NIPPON DATA等の解説を加えながら,性差医療について理解できるように話した.また,性差医療に対する行政の動き(新健康フロンティア戦略)にも触れ、解説した。