本研究では、将来の小学校教員を目指す学生たちを対象とした、スポーツ・健康教育に関連する科目の一つである「スポーツB(ET)」を担当する各教員の授業の実践内容を報告し、今後の効果的な授業展開を検討するための課題と展望を考察した。2022年度は「スポーツB(ET)」を3人の教員で担当し、各教員の特徴を活かしながら創意工夫を凝らした授業を展開してきた。共通点として、学生が主体となり授業を組み立てながら実施するアクティブラーニングを用いた授業を展開していたこと、少人数のグループを核として,学びあえるような環境づくりを意識したことが挙げられた。一方、各クラスで実施内容に差があったことが課題として挙げられた。教員の特徴を活かしながら、学習の質に差が生まれないよう常に情報を共有していくことが重要である。さらに、大学での体育実践を通して得られる心身および社会性への影響を明らかにすることを目的に、基礎体力の測定と生活および運動習慣の調査を行い、本学の学生の基礎体力の傾向と生活および運動習慣との関連を検証するための課題について検討した。学生相互で実施したことから、体験的な学びなどの教育活動上のメリットが挙げられた一方で、正確なデータの収集が困難であるなどの研究活動上の限界も挙げられたことから、両面の質を担保するための運営方法についてさらなる検討が必要であった。今後は,体力・運動能力の全国的な傾向との比較や、生活および運動習慣の特徴における比較など、より応用的な分析が必要になると考えられる。